かばた健吾

【PTAに対する】
Q.かばたさんはPTAをされているそうですね。私もPTA役員をしています。PTAの活動す
る良いところはやはり学校との距離が近くなるということ、子どもに関わる地域課題を知
ることができるということ、そして保護者同士の繋がりができるということでしょうか?か
ばたさんにとってPTAをやるメリットは何だとお考えでしょうか?お聞かせください。
A:
私自身もPTAに関わる中で、学校や先生方との信頼関係が深まり、地域の教育課題や子どもたちの現状を身近に感じることができました。また、保護者同士が「顔の見える関係」を築けることは、学校だけでなく地域全体の見守り力の向上にもつながると感じています。PTAを通じて学校との橋渡しをしながら、子どもたちの成長を支える大人同士のつながりをつくることが、とても大切だと思っています。しかし、コロナ禍を経て、状況は変わってしまいました。PTAの活動は縮小して集まる機会も減りました。でも仕方ないんです。先生は業務が大変で、保護者も共働き世帯が増えて、PTAをやろうと手をあげる保護者もなかなかいません。でもそんな状況だからこそ保護者同士の横のつながりや、先生と子どもたちの橋渡し役は必要だと思っています。
【学びの多様性について】
Q.2025年度に15歳未満の子どもの数が1366万人と過去最小になってしまいました。一方
2023年度、全国の小中学校で30日以上欠席した不登校児童生徒数は34万6482
人となり、過去最多を記録しました。多くの自治体が不登校の子どもをとり出して分
ける、「学びの多様化学校」という名の不登校特例校の設置に乗り出そうとしていま
す。豊中市もその中の一つです。障害者政策もそうですが、日本は国連から障害児
者を学校や社会から分離することは許されないと勧告を受けています。私も分ける
ことは解決にならないと思っていますが、かばたさんはこれについてどう思われます
か?(ご自身の障害者自立センターでの活動や運動の経験、福祉に対するお考え
を聞かせてください)
A:
非常に重要な視点だと思います。インクルーシブ教育とは、本来すべての子どもが同じ場で学び合い、互いを理解しながら育つことを目指すもので、確かに不登校の子どもたちに対する「学びの場」の多様化は必要ですが、それが“分離”につながってしまうと、社会の包摂性そのものが損なわれる危険性があります。障害児・者に関する国連からの勧告の通り、「分けることが支援になる」と思い込んでしまうことこそが、最大の障壁になっているのではないかと感じます。一人ひとりに合ったサポートをしながらも、共に過ごす場を保障する仕組みこそが、これからの社会に求められると考えています。分けることの最大のデメリットは、その相手のことを知らずに育って大人になっていくことだと思います。差別、偏見をなくすためには相手を知っていくことが大事だと考えています。
【分離教育について】
Q.子どもをどんどんわけていくという動きは、学校の人手不足に向き合わない、お金をかけないために進められていると思います。政府が教育にお金を使ってこなかった弊害、負の影響は不登校が増えただけでなく、教員の働き方にも影響していると思いますが、どう思われますか?
A:
根本的な問題は「現場にリソースが足りていない」ことにあると考えています。教員の負担が増える一方で、人手も予算も追いついておらず、結果として「個別に対応できない」ことが分離の正当化につながってしまっているのだと思います。本来であれば、多様な子どもたちを一緒に支えるために、複数の専門職(福祉職や心理職など)が学校に常駐し、チームで対応していく体制が必要です。教育にもっとお金を使い、現場に寄り添った制度設計を行わなければ、今後さらに分断は進んでしまうでしょう。「わけることで楽に見える仕組み」ではなく、「支え合いができる仕組み」を目指すべきだと思います。そのためには、教員を今より1.5倍に増やさないといけないし、1クラスの人数を減らしていかないといけないと思っています。
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